相続税対策(応用編)…その2

13  管理会社設立による相続税対策    

  

 @不動産管理会社の設立メリット 

 

 不動産賃貸業の規模が大きい場合には、不動産管理会社を設立運営するメリットとして、次の事項が考えられます。  

  T―管理会社の管理業務に個人の親族が役員、従業員として従事することにより、管理収 入を原資として給与収入を得ることが可能となります。 

  U―上記によりオーナーの所得を管理会社を通じ親族に分散することができ、オーナーの相続 財産を圧縮することが可能となります。 

  V―個人の所得税率は超過累進税率であり、毎年高額の不動産所得が予想される場合においては、所得税と法人税の税率により税負担が減少し、個人および管理会社を含めた全体で有利となります

  W―管理会社の設立にあたっての株主等は資本金の調達が可能であれば、配偶者、その他 の親族が望ましいものと思われます。オーナーが株主でなければ、管理会社に利益が留 保されても相続財産とはならないからです。

  X―個人所有の遊休不動産の裕子言う活用および相続税対策として、管理会社がオーナー より土地を賃借し、賃貸用不動産等を建設することにより賃貸料収入の管理会社への帰 属により相続財産の増加を抑制でき、また税務上の手当てにより貸宅地としての評価減額も可能となります

   

 A不動産管理会社の運用形態

 管理会社の運用形態は、次の形態が一般的です。

 T 管理委託方式 

  貸室等の賃貸借の契約者名義はあくまでも個人であり、管理会社は不動産の管理業務を行う方式です。通常、管理委託方式による場合は個人(オーナー)と管理会社間において不動産管理委託契約が締結され、毎月の管理業務の対価として月額管理報酬が支払われます。

                       @賃貸借契約の諦結

  賃貸物件〈オーナー〉     ←←←→→→      各賃借人〈テナント〉

                           ←←←←←←

                        A賃料の支払い(例:100万円)

              ?Eホ????  ??ホ????   

                                     ?Eホ???? ??ホ???? B管理委託契約の諦結    

         C管理料の支払い   ?Eホ???? ?Eホ????  

                 (例:15万円)        ?Eホ???? ?Eホ????                                                

                            管理会社 親族が管理業務にあたる  

  U 一括賃貸方式(サブリース方式)

 

  管理会社がオーナーより賃貸用不動産を一括借りし、管理会社が賃借人に賃貸する方式です。このスキームによる場合、管理会社の実質的な管理報酬額は、賃借人からの賃貸料収入と個人(オーナー)に支払う賃借料の差額となります。                 

     @賃貸借契約の諦結         B賃貸借契約の締結

        ←←   →→              ←←  →→

                                       管理会社

 賃貸物件  ←←←←←            ←←←←←   各賃借   

   (オーナー)                                          (テナント)

 

 V 折衷方式 

  

 この方式は個人が複数の物件を所有する場合、管理会社との契約にあたり異なる物件ごとに管理委託方式と一括賃貸方式を適用する場合です。

????????


       ●A物件・・・・・管理委託方式       

       ●B物件・・・・・一括賃貸方式

 

 B管理会社設立にあたっての留意点

 設立に際しては、次の点に留意する必要があります。

 

 1 管理会社に対する管理委託料が高額である場合には、同族会社の行為計算の否定規定により経費が否定される場合があります。 

    管理会社を設立すると、法人の決算及び法人税等の確定申告が必要となり、税理士等の専門家に対する報酬の支払い等も発生しますので、コストパフォーマンスも考慮に入れる必 要が ありす。

 

相続税対策(応用編)…その1

12  交換を利用した保有資産の有効活用   

  

 @交換の活用 

 資産家の中には多くの不動産を所有し、貸地を多く保有されている方がいます。貸地の多くは固定資産税等の負担を考慮した場合収益性が悪いため、何らかの機会に借地権の買戻しまたは借地権と底地権也の交換、底地権の売却等を考えている地主の方も多いと思います。 

 このような場合に、生前の相続税対策として交換の活用により、次のような効果が得られます。

 低地件と借地権の交換により完全な所有権となり次の相続税対策が考えられます。

 

1.いくつかの共有状態にある不動産を交換し単独所 有することにより、将来の相続に対して物納または 売却による納税対策が可能となります。

 

2.収益性の低い貸地との交換により、収益性の高い 土地に切り替えることができます

3.生前対策を行うことにより、対策費用としてかかった費用が事業に関連する場合には必要経費となり、 また、結果的にその費用部分が相続財産に含まれな いことになります

 

 

 A交換活用の事例

  次の事例は戦前より莞三者に土地を賃貸している地主が、賃貸面積が広かったため、底地権と借地権の交換を行い、交換後完全な所有権とし、その後、賃貸マンションとしての有効活用により財産評価額を圧縮した事例です。

   

????????事例

               交換前

                ↓

 地積 700u 

                 

 借地権割合70%       路線価 1,000,000/u
   (借地権・借地人)        ●借地権割合70%地区 
                           
 底地権割合30%       ●低地評価額 210,000,000
   (底地権・地主)      7001,000,000/0.3 
                                    =210,000,000                    
 

                ↓  

               交換後

                ↓

 地積 210u 

  地主・マンション建設    

      ↓     ?Eホ???? 相続時の評価          
      ↓    土地については、貸家建付地の評価を適用           
      ↓    建物については、貸家の評価を適用             
      ●土地評価額  165,900,000  ※1  ※2       
          210u×1,000,000円/u×(1−0.3×0.7)   
          =165,900,000円
                        ※1借家権割合                
                                 ※2借地権割合
                
 地積 490u  
   借地人         
                            

    

 評価圧縮額  

 T交換前評価額     210,000,000  

 U交換後/貸家建付地  165,900,000  

 V評価圧縮額(T−U)  44,100,000

 

 B交換にあたっての留意点 

 交換も税務上は譲渡の一形態となるため、原則として交換によって顕在化した含み益に対して個人の場合には所得税が課税されます。しかし次の要件を満たす場合には、交換の特例の適用を受けることにより納税が発生しません。  

  適用要件   

  T自己および交換の相手方が共にそれぞれ1年以上所有している資産であること。 

 U譲渡資産および取得資産が共に固定資産であること。 

 V同一種類の資産の交換であること。 

 W交換により取得した資産を交換により譲渡した資産の用途と同一の用途に供すること。 

 X交換差金等の額が、交換資産のいずれか高い方の時価の20%以下であること。  

 Y交換の相手方の資産が交換のために取得した資産でないこと。 

 以上のように交換の有効活用により、所得税、相続税等の対策を行うことができます。なお相続税対策には時間とコストがかかることを考えますと早い段階での着手をお勧めします。