相続税対策(基礎編)…その5

11  特定事業用資産の減額特例の有効活用 

 

 @制度の概要

 

 相続によって取得した一定の要件を満たす特定同族会社株式については、小規模宅地の評価減の適用を受ける代わりに、相続税評価額の10%の評価減を認める特例が設けられています。平成16年度の税制改正でこの特例対象となる株式の範囲がそれまでの3億円までから10億円までに拡大されました。すなわち、最高で1億円の評価減が可能となりました。

  

   ●税制改正前後での比較

   改正前 改正後
減額対象範囲 3億円 10億円
最高減額金額 3,000万円 1億円

  改正前は最高で3,000万円までの減額であったため、小規模宅地に係る評価減との兼合いを考慮した場合にはそれほど利用価値が高い制度とはいえませんでした。しかし、平成16年度の税制改正で対象範囲が拡大された関係で評価減の最高額も1億円となり、検討の価値が十分あるものと思われます。 

 なお、この特例の対象となる特定同族会社株式の要件の主なものは以下のとおりであり、すべての要件を満たす必要があります。 

    特定同族会社株式の要件   

  ・被相続人から相続または遺贈によって株式を取得した相続人が被相続人の親族であり、  かつ、相続税の申告期限においてその会社の役員等であること   

  ・被相続人が有していた株式等で発行済株式等の3分の2までの部分であること   

  ・相続開始直前の被相続人および親族その他特別な関係がある者の保有する割合が50%超であること     

  ・相続開始直前において被相続人が有していた特定株式に係るすべての法人について、その法人の発行済株式総数に1株あたりの評価額を乗じた額が20億円未満であること

  

 A小規模宅地の特例との併用 

 

この特例は小規模宅地の特例との併用が可能となります。併用する場合の具体的な算式は以下のとおりとなります。

     400u−B

 A × _______          
       400u 

                    

A:特定同族株式等の価額のうち、発行済株式総数の3分の2に達するまでの金額といずれか低い金額                                

B:小規模宅地の特例の適用を受けた面積の合計

   

 B相続時精算課税制度」との関連 

 

 相続時精算課税制度を選択して自社株の贈与を受けた場合であっても、相続税の計算にあたり、特定事業用資産の特例の適用ができます。すなわち、特定事業用資産の特例の適用ができる自社株を生前に贈与を受けて、相続時精算課税制度の適用を受けている場合には、特定贈与者の相続税の計算にあたっては、贈与時の評価額の10%相当額を減額して計算することができます。なお、相続時精算課税制度を通用して生前に自社株の贈与を受けている場合には、特定事業用資産の特例の適用判定にあたり株式の数量・金額等が影響してきますので、注意が必要となります。 

 また、相続時精算課税制度を選択した精算課税適用者が将来の相続時に特定事業用資産の特例の適用を受けようとする場合には、贈与税の申告期限内に所轄税務署長に所定の届出をする必要があります。 

相続税対策(基礎編)…その4

10  小規模宅地評価減の有効活用 

 

 @相続税対策としての評価特例の活用 

 

 相続税対策を行うに際しては、最初に現状認識として財産の把握および評価、税額試算や納税資金の検証等についての作業を行います。その作業過程の中でしばしば、所有資産が有効活用されていない例が見られます。 

 例えば、固定資産税負担の高い土地が更地であったり、地積が広く固定資産税の負担が高い土地が貸地であるなど、安易に前回の相続で不動産を共有相続したために今後の相続対策がスムーズに進まないケースがあります。 

 上記の例で固定資産税負担の高い更地については、事業用建物、賃貸用マンション等を建築することにより、ケースによっては一定の面積まで相続税評価額の50%または80%の評価減額が可能となり相続税対・策として有効です。?? ?r??

 

 A特例の内容 

 

 相続または遺贈によって取得した財産のうちに、被相続人等の事業の用もしくは居住の用に供されていた宅地等で建物や構築物の敷地に供されているもの、または国の事業の用に供されている宅地等で建物の敷地の用に供されているものがある場合には、相続人等が取得したこれらの宅地等のうち限度面種までの部分(小規模宅地という)について50%または80%の評価減額ができます。 

 主な例として次のものがあります。

 

被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、 その宅地等を配偶者が取得するか被相続人と 同居していた相続人が相続税の申告期限まで に取得し、かつ、申告期限まで保有する場合。   相続人の住居用 ??

                            ↓

                     被相続人が保管

  上記用件を満たす場合、240までについて80%の減額

計 ●減額前宅地評価額     120,000,000円 面積300u

算 ●小規模宅地の評価減額  120,000,000円×240u/300

例                    80%=76,800,000

  ●減額後の評価額  120,000,000円-76,800,000円=43,200,000円

被相続人が貸家を経営していて、その賃貸建 物の宅地等を相続人等が取得した場合。                             賃貸用建物 ?r??

                      ↓

                     被相続人が保有

  上記用件を満たす場合、200までについて50%の減額  

計 ●減額前宅地評価額    84,000,000  面積380u

算 ●小規模宅地の評価減額  84,000,000円×200u/380

例                            50%=30,000,000

  ●減額後の評価額  84,000,000-30,000,000=54,000,000

被相続人が不動産賃貸業以外の事業(例えば ビジネスホテル経営)をしていて、その宅地 等を申告期限までに取得し、かつ、申告期 限までに事業を継承し、申告期限まで保有 する場合。                                    ホテル営業 ?z?e??

                       ↓

                     被相続人が保有

  上記用件を満たす場合、400までについて80%の減額 

計 ●減額前宅地評価額     200,000,000円 面積500u 

算  ●小規模宅地の評価減額  200,000,000円×400u/500u

例                    80%=128,000,000

  ●減額後の評価額  200,000,000-128,000,000=72,000,000

  

 B小規模宅地の特例適用にあたっての留意点 

 

 小規模宅地の特例を利用する場合には、いくつかの留意点があります。 

 主な留意点としては次のようなものがあります 

 T「争族」により相続税申告期限までに分割されない場合には特例適用ができません。その場合にはとりあえず、「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出する必要があります。この手続きにより3年以内に分割された場合には、小規模宅地評価減の特例適用が可能となります。 

 U原則的には特例適用対象土地が複数ある場合には、評価減額前の宅地、1uあたりの単価に減額割合(80%もしくは50%)を乗じた額で最も高いものから適用することにより税効果が最大となります。 

 V特例申請にあたっては添付資料が必要となります。 

 W月極駐車場等については、フェンスやアスファルト敷などの構築物がないと特例適用ができないため、このような場合には、相続開始前に事前整備する必要があります。 

 X小規模宅地の特例の態様は非常に多く、その適用および相続税対策においては専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。 

相続税対策(基礎編)…その3

9  相続時精算課税制度の有効活用 

 

 @適用要件

 相続時精算課税制度は、贈与をする年の1月1日において65歳以上である者(以下「特定贈与者」という)から、贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受ける年の1月1日において20歳以上の者(以下「精算課税適用者」という)に贈与を行った場合に適用が可能となります(なお、住宅取得等資金の場合贈与者には年齢の制限はありません)。

 相続時精算課税制度の適用を受けようとする精算課税適用者は、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期限内に「相続時精算課税選択届出書」等を贈与税の申告書に添付し、贈与税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 この「相続時精算課税選択届出書」を提出した場合には、その届出書に記載した特定贈与者からの贈与により取得する財産については、この制度を適用した年分以降、全て相続時精算課税が適用されることとなります。なお、いったん提出された「相続時精算課税選択届出書」は撤回することはできませんので注意が必要です。

 

 贈 与 ?????? → 相続時精算課税選択届出書」

           「相続時精算課税に係る財産を

           贈与した旨の確認書」の提出

     
  A基本的な仕組み

 

 T 財産の贈与時 

 

 相続時精算課税制度は、贈与する財産の種類に制限はなく、金額の上限も設けられていません。また、贈与の回数にも制限が設けられていませんので、一括あるいは数年間にわたる贈与も可能となります。ただし、無税での移転ができる金額は2,500万円(住宅取得等資金の場合には3,500万円) の制限があり、この金額を超えた部分については一律で20%の贈与税が課税されます。

 相続時精算課税制度に係る贈与税額の計算

   (贈与税の課税価格−特別控除額※)×20%=贈与税額 

             ※特別控除額は以下の金額のうちいずれか少ない金額となります 

・2,500万円(既にこの規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額を控除した残額) 

・特定贈与者ごとの贈与税の課税価格 

 

 U 相続発生時

 

 特定贈与者から相続または遺贈により財産を取得した精算課税適用者の相続税の計算については、相続時精算課税制度を選択した年分以後の年に特定贈与者から贈与を受けた財産の「贈与時における価額」と相続財産の価額を合算した価額を相続税の課税価格とし、現行の課税方式により計算した相続税額から、相続時精算課税制度における 贈与税の税額に相当する金額を控除します。

 その際、相続税額から控除しきれない贈与 税の税額に相当する金額については、還付を受けることができます。

 ??ホ???? 控除  

     相続税額
  

 B自社株の場合の相続時精算課税制度適用上の留意事項 

                      (評価額の増減の考慮)

 相続時精算課税制度を活用した場合、2,500万円までであれば贈与税の負担なく自社 株を後継者に移転させることができるため、経営権を後継者にバトンタッチできます。

 ただし、相続時精算課税制度を適用した場合には、前述したように、相続税の課税価格を算出する際に、相続時精算課税制度を適用したことにより贈与税の課税価格に算入された価額を合算することとなり、その際に合算される贈与財.産の価額は、「贈与時点における課税価格に算入された価額」となるので留意が必要です。 

 非上場株式の相続税または贈与税の課税価格の計算は財産評価基本通達に基づいて評価が行われ、評価額は会社の業績・規模・類似業種の平均株価等の変動や、財産評価基本通達の改正等により大きく変動するのが通常です。そのため、自社株の評価額が上昇し、相続時点の評価額が贈与時点の評価額よりも高い場合でもその差額分は相続税の課税対象とはならないため有利になります。 

 一方、自社株の評価額が下落し、相続時点の評価額の方が贈与時点の評価額よりも低い場合には、その差額分だけ相続税の課税対象が増えることとなり不利になってしまいます。このような場合には、税務上の取扱いだけを考慮すれば、そもそも相続時精算課税制度を利用しなければ良かったということになってしまいます。 

 相続時精算課税適用者が贈与後において経営成績を上昇させることを期待するような、一種のストックオプション的な考え方もありますが、自社株の相続時精算課税制度の適用にあたっては評価会社の状況等を見極めて慎重な判断が必要となります。 

相続税対策(基礎編)…その2

8  養子縁組の活用   

 

 @養子縁組による税効果  

 養子縁組を行うことにより法定相続人が増加します。このことにより、相続税の基礎控除額の増加、相続税総額計算への影響、生命保険金等や退職手当金等の非課税限度額の計算において税効果が得られます。 

 なお被相続人の孫が養子縁組により相続人となって相続財産を取得した場合には、想 続税額にその相続税額の20%相当額が加算されます。

 

 A養子の相続税法上の取扱い

 民法上養子縁組により養子は縁組の日から養親の相続権を有することになりますが、従前養子縁組による租税回避行為が多かったため相続税法上、法定相続人の数に次のような制限が設けられています。

 

(1)

被相続人に実子がある場合   1人
 (2) 
被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合 1人
 (3)
被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合  2人
 
          

相続税対策(基礎編)…その1

7  生前贈与の有効活用 

     

 @贈与の分岐点 

 大がかりな相続税対策は時間とコストがかかります。しかし、生前贈与は対象とする財産を預金と株式等とすることで簡単に実行することができ、将来予想される相続税額を圧圧縮するために、生前贈与を継続して行うことが有効な相続税対策となります。

 子供や孫その他親族に対して生前贈与を行う場合には、現在予想される相続税の実効税率よりも低い贈与税の税率が適用される財産の範囲で贈与を行う必要があります。

 生前贈与をする場合の分岐点について次の事・例を基に説明します。

 

???????? 事 例

相続税

 課税価格の合計額

 9億2,000万円

 法定相続人

 子供3人

 基礎控除額

 5,000万円十1,000万円×38,000万円

 課税遺産総額

 9億2,000万円-8,000万円=8億4,000万円

 相続税総額

 各相続人の法定相続分

 8億4,000万円×1/3=2億8,000万円

 28,000万円×40-1,700万円9500万円

 9,500万円×3人=2億8,500万円

 実効税率

 28,500万円÷92,000万円3098

贈与税

 贈与税総額

 1,410万円−110万円(基礎控除額)=1,300万円

 1,300万円×50%−225万円=425万円

 実効税率

  425万円÷1,410万円=30.14%

 

 

 

 

 

参 考 ??

■相続税の速算表

 法定相続分の各相続人の取得金額

 税率

 控除額

         1,000万円以下

 10

 

 1,000万円超〜3,000万円以下

 15

 50万円

 3,000万円超〜5,000万円以下

 20

 200万円

 5,000万円超〜  1億円以下

 30

 700万円

  1億円超〜  3億円以下

 40

 1,700万円

 3億円超

 50

 4,700万円

■贈与税の速算表

 基礎控除,配偶者控除後の課税価格

 税率

 控除後

 200万円以下

 10

 

 200万円超〜  300万円以下

 15

 10万円

 300万円超〜  400万円以下

 20

 25万円

 400万円超〜  600万円以下

 30

 65万円

 600万円超〜1,000万円以下

 40

 125万円

 1,000万円超

 50

 225万円

 

 

 

 

 

 

 

 

 A生前贈与のメリット

 上記事例を基に生前贈与を活用することによる相続税額を確認してみます。

 相続人である子供1人ずつに1年間で合計1,410万円を贈与することにより4,230万円(=1,410万円×3人)の相続財産が減少します。この贈与が実行された場合の相続税額の合計は2億6,808万円となり3人分の贈与税額1,275万円(=425万円×3人) を負担しても、生前贈与を活用しなかった場合と比較して417万円(=2億8,500万円−2億8,083万円)の税負担の軽減が可能となります

 また、生前贈与を毎年継続して実行することで相続財産を圧縮することができるので、生前贈与を行う期間の贈与税額の合計額とその後の相続税額を合計した額は、何も対策をしなかった場合の相続税額と比ベて大きく減少することになります。

 

 B生前贈与における留意点 

 相続税の調査においてよく問題となる項目に家族名義預金があります。 

 家族名義とされている預金が、実質的にも名義人(相続人等)の財産なのか、それとも亡くなった被相続人の財産なのか、その判断に苦しむケースがあります。よくあるケースとしては子供、孫に寄与控除額以下(現行110万円)の金銭を毎年贈与し、長年にわたって贈与しているケースです。

 将来的には相続財産の帰属で誤解を招かないためには、多少面倒でも贈与税の確定申告手続きをし、確定申告の本人控と納税額が発生している場合には、納付書の保管が必要となります。

 また生前贈与の対象財産を不動産とした場合には、連年贈与(贈与する財産を一度に契約し、それを数回に分けて贈与すること。その場合には、初年度に贈与する財産全体が贈与税の課税対象となります。)とみなされないようにするために、毎年所有権移転登記を行い、贈与日と贈与金額にアクセントをつけるなどの工夫も必要と思われます。

 ????????奥様やお子様に、結婚記念日や誕生日?o?[?X?f?[、クリスマスの記念としてプレゼントされたらいかがでしょうか??v???[???g

 

人的対策…その3−2

A遺言と死因贈与の違いは 

 

 T 遺贈と死因贈与 

 

遺贈

  遺言によって財産を与える(無償供与する)ことを遺贈といいます。この場合、被相続人が生前に財産の処分の方法を自らの意思できめることができます。      遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。  

 包括遺贈は、財産を特定せずに財産の一定割合を指定して行います。この方法で遺贈を受ける包括受遺者は、相続人と同一の権利・義務を有し、遺産分割協議に参加することができます。 一方、特定遺贈は、遺産を具体的に特定して行う遺贈をいいます。

 なお、遺贈は遺言者の一方的な意思表示であるため、受遺者は取消しや変更を自由にす ることができます。また、受遺者は遺贈の放棄をすることもできます。

 死因贈与

 死因贈与とは贈与者の死亡により、その契約の効力が生じる贈与契約をいいます。例えば、父親が生前、長男に対し「自分が死んだらこの財産をあげる」 と約束し、長男が承諾した場合などです。   

 死因贈与は民法上、遺贈に準じて取り扱われます。また、相続税法上も遺贈と同じ取扱いとなりますので、贈与税ではなく相続税が課税されます。  

 なお、贈与者が死因贈与契約締結後にその内容と異なる遺言を作成した場合には遺言が優先されますが、長年の間而倒をみることを条件に死後財産を贈与するといった負担付死因贈与契約の場合には、一方的に死因贈与を取り消すことができないという最高裁の判例も出ています。 

 

 U 遺贈と死因贈与の相違点 

  

 遺贈と死因贈与では、メリット、デメリットがそれぞれありますが、両者の相違点をまとめると以下のとおりとなります。

 

 

 遺 贈

●遺言者の一方的な意思表示だけで成立する。

●遺言者の死亡後、いつでも放棄できる。

●各相続人間で遺言とは違う遺産分割ができ、遺贈者の意思が反映されない場合がある。

 死因贈与

●贈与者と受贈者双方の意思表示の合致により成立する契約である。

●放棄できない。

●確実に財産を移転できる。

  上記のほかに、不動産を取得した際の名義変更に係る登録免許税や不動産取得税の取扱いも違います。不動産取得税の場合、土地や家屋の相続(包括遺贈および被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による取得は非課税ですが、死因贈与の場合は下表のとおり課税されます。

 

   (不動産所得税の課税)

   区 分

 税 率

住 宅土 地

H21.3.31まで 3%

(原則4%)

住宅以外の家屋

H20.3.31まで3.5%(原則4%)

宅地等については、国定資産税評価額の2分の1に税率適用

(H21.3.31まで延長)

 登録免許税についても、死因贈与の場合は固定資産税評価額の2.0%、相続の場合は 固定資産税評価額の0.4%課税されます。 

 

 V 遺贈か死因贈与か 

 

 上記2の通り、死因贈与は自分の財産を確実に移転できるというメリットがあります。一方、遺贈の場合は各相続人間で遺言の内容と違う遺産分割ができるなど、必ずしも遺贈者の意思どおりに財産を移転できるとは限りません。

 そこで、生前に遺産分割を完了させる目的で財産を確実に移転させるためには、死因贈与の方が有効と思われます。 

人的対策…その3−1

6  予防策   

  

@遺言による予防策 

 

 T 遺言書の必要性   

 最近、信託銀行を初めとする金融機関やマスコミにより、過言書の作成についてこれまでになく大きく取り上げられています。民法では相続が発生した場合、遺産分割1つの基準として法定相続分が定められていますが、我が国では私有財産制をとっ ており、この財産処分の自由を尊重して認められているのが遺言制度です。

 

   遺言書の必要性としては、次のようなことがあげられます。

 

(1) 今後相続が発生した場合に、遺産分割協議が調わないことが予想される。

 

 (2)遺言で株式の継承者を特定することにより、事業継承をスムーズに行うことができる。

(3) 遺言により事業資産の分散を阻止することができる。

 (4)遺産を国等に寄付する等、相続人以外に財産を与えることができる。
 (5)配偶者と兄弟関係が法定相続人である場合に、すべての財産を配偶者に相続させることができる。

                                                            
 U 遺言書の種類 

 

●遺言書の種類とその特徴

  自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法

日付、氏名、財産目録、分割内容等全文を自書し、押印する。

●遺言の加除、訂正の方法については、民法に定められている方法による。   

●遺言者が公証人役場に出 かける。

●証人2人以上の前で公証人に遺言内容を口述し、民法で定められた方式で公証人が筆記して作成する。

●筆記内容に誤りがないかを確認し、遺言者、公証人、証人それぞれが、署名、押印する。

遺言書に署名・捺印し、封入する。署名印と同じ印鑑にて封印する。

●遺言者が公証人役場に出かけ、公証人1人、証人2人以上に提出する。

●遺言者が自分の遺言書であること、遺言書の筆者の住所・氏名を申述する。

●公証人が提出日付と遺言者の上記申述内容を記入する。

遺言者、公証人、証人それぞれが署名・押印する。

メリット

●手軽に作成できる。

●遺言書の存在および内容を秘密にできる。

●費用がかからない。

●原本は、公証人役場にて保存されるため、紛失のおそれがない。

●家庭裁判所による検認手続が不要である。

●遺言の存在、成立の真正等無効になるおそれがない。

●偽造されるおそれがない。

●偽造されるおそれがない。

●遺言書の存在および内容を秘密にできる。  

デメリット

●文意不明、形式不備等により無効となる恐れがある。

●遺言書が発見されない(隠匿の)おそれがある。]

●遺言書が紛失するおそれがある。

●家庭裁判所の検認手続が必要である

●費用および手間がかかる。

●遺言書の存在および内容を秘密にできない。

●手間がかかる

●文意不明、形式不備等により無効たなるおそれがある。

※民法で定められている遺言書の種類は、通常の場合上記3[類である。この方式に則っていない過言は無効となる。

※自箪証密過言または、秘密証書過言を自宅等で発見した珊合には、家庭裁判所へ遺言函の検潔の申立てをする。

※複数の過言醤が発見された場合には、最新の過菖掛が個先される。

 

 V 遺言書作成上の留意点 

 

 遺言書を作成するにあたって注意する点としては遺留分の侵害の問題があります。遺留分とは推定相続人の相続に対する期待権を保護するための制度であり、兄弟姉妹を除いた相続人でその割合は法定相続分の2分の1となります。ただし、父母などの直系尊属のみが相続人になるときは3分の1となります。 

????????

  被相続人甲の相続人は、妻乙と子A、Bの3人です。


                          

●妻乙の遺留分は、                            1/2×1/2=1/4です。

                          ●子A、Bの各人の遺留分は、                         1/2×1/2×1/2=1/8です。 

 

  最近、相続人の権利意識の高揚と共に遺留分の減殺請求の申立ても非常に増加してきていますので、遺言書を作成する場合には、特別の事情がない限り遺留分相当額を考慮した遺言書を作成しておくことをお勧めします.

人的対策…その2

5  派閥争い回避・内部関係者の整備    

 

 後継者候補が2人以上いる場合、後継者の選出にあたって相続人間でトラブルとなったり、会社内部で派閥争いとなったりと、事業承継を妨げる問題の発生が予想されます。このようなトラブルを解決する方法の1つとして会社分割制度の活用があります。ここでは建設不動産業を営む会社の事例を掲げます。

 

????????事例  

  創業者が興した事業について、長男に建設部門、次男に不動産部門を承継させようと対策を実践してきました。しかし、事業承継対策実践途上、長男と次男の間で将来の会社の展望や従業員の処遇などで対立が発生してしまいました。対立が発生してしまいました。  

  このような場合の解決策としては、会社分割制度を利用するのも一法です。建設部門と不動産部門を、相互に資本関係を持たない独立した会社(会社分割)とした後に、それぞれの会社の株式を長男、次男に移転させる方法です。会社分割後は、お互いに相手側から干渉されることなく、自己の方針に基づいてそれぞれ自分の会社の経営に専念できることになります。 

  会社分割は長男、次男それぞれの経営理念・考え方に基づいて会社を発展させることは可能となりますが、当然のことながら経営者が築いた会社が2つに分割されることは避けられません。会社分割は従業員、取引先等をも巻き込む重要な問題です。会社分割の実行にあたっては、現経営者の意向を十分に相続人や従業員に理解させ、分割することのメリット・デメリットを考慮の上、慎重な判断を下すことが肝要と思われます。

分  割  前

  株主=長男+次男

     分割法人(建設・不動産)・不動産部門

 分  割  後
   株主→長男
         分割法人(新設)   
     →次男
                【分割承継法人(不動産)
     
     
※会社分割制度の適用にあたっては、税務上の一定要件を満たせば新会社へ資産を簿価(通常は時価となるため、時価が簿価より高額である場合、その差額に対して法人税等が課税される)で移転するこが可能となり、法人税等が繰り延べられます。税務上の取扱いは要件等複雑なため専門家と相談して慎重に取り組むことが重要です。

人的対策…その1

4  後継者対策

    

  @後継者の選出

 後継者に求められる資質をまとめると以下のようになります。

  T目的意識を持ち、的確に意思決定ができる。

  U―既存概念にとらわれず時代に敏感に対応できる。

  V―人の話を聞き、理解しようとする柔軟性があり、リスクにも柔軟に対応ができる。ィ

  W―社員の家族の生活を支えているという使命感を持っている。 ??

  X―社員を統率しまとめていくリーダーシップがある。 ????

 後継者として選出した者(息子、娘、娘婿等)が、上記の資質の全てを満たしていない場合でも、後継者の資質の不足事項を助け、支える良きアドバイザーを社員等の中から選出し、育てることも重要な対策の1つと思われます。

 

   A後継者の育成

 後継者を社内の各部署に配属し、現経営者の下で、経営者としての心構え、哲学を学ばせることも有効です。一方、社外で様々な人間に接し、広い社会を経験することも必要と思われます。事業承継対策のタイムスケジュール、後継者の性格等を考慮して、有効な育成方法の検討が求められます。

 

   B後継者を含む相続人関係の整備  

 後継者以外の相続人にたいして、どのように財産を残すか(残せるか)、経営者が亡くなった後の相続人間での遺産分割をめぐるトラブルを防ぐために、遺言書等の手当は肝要です。

 

   C従業員と現経営者との関係

   現経営者のカリスマ性に依存している場合、次の経営者の下で働くことに不都合が しょうじないよう、現経営者が現役のうちに社内体制を整理しておくことが望まれます。

 

   D従業員と後継者との関係の整備

  後継者選出をめぐって派閥ができ、社内のトラブルの原因となっているということも耳にします。中小企業にとっては特に厳しい現在の経済環境下、社員一丸となって業務遂行にあたらないと会社の明るい未来はありません。社員の士気を高め意思を1つにまとめるためにも、後継者選出にあたっては、現経営者の明確な意思表示が重要でしょう。 

 

  E後継者と外部取引先との関係の整備

  取引先、同業者、取引金融機関等の集まりの機会がある際には現経営者と一緒に後継者も出席し、接触することで次期経営者としての地位を明確に外部取引先等にアピールすることも大切と思われます。

 

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事業継承対策の柱…その3

3  対策のタイムスケジュール  

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 自社の事業承継計画は、5年、10年という時間をかけてじっくりと遂行可能であるか、あるいは、l〜2年のうちに計画の完了が必要なのか、計画に費やせる時間の把握も重要です。中長期計画の下では段階を経て穏やかに進められる対策も、短期計画の下では多少の荒療治が必要となる場合もあります。「人的対策」、「物的対策」の検討と同時に、対策にあたってのタイムスケジュールの立案も大切です。

                                                         

事業継承対策の柱…その2

2 事業継承成功のための2つの柱   

 

 @ 人的対策

 後継者の選出、後継者の育成、後継者を含む相続人間でのトラブル(財産承継をめぐっての争族)の回避、従業員と現経営者との関係整備、従業員と後継者との関係整備等、人間関係にかかわる問題点は多数想像されます。人間関係を整備すること(=人的対策) がスムーズな経営権の移譲には欠かせません。

 オーナー型企業の場合、現経営者のカリスマ性に依存しているケースが多いのではないでしょうか。偉大な経営者の威厳とオーラに従業員ばかりか社外の関係者(取引先、金融機関等)も圧倒され、支持されている場合には、後継者への経営権の承継時期の見極めも重要となるでしょう。

 A 物的対策

 経営者が死亡した場合の相続税額はいくらか、金銭で一時に納付入可能か、経営者所有の自社株を後継者へ贈与した場合の贈与税額はいくらとなるか、自社株はいつ、いくらで後継者へ譲ればよいか等の相続税贈与税の問題の検討、解決はスムーズな経営権の移譲のためには最重要テーマです。あらかじめ想定される金銭等のトラブルはできる限り回 避磨る対策(=物的対策)が必要です。

 事業継承を成功させるためには、人的対策、物的対策の2つの対策を柱とし、相互にバ ランスの取れた対策を立案、実行していくことが求められます

                                               
                                   

           現状の分析・把握            

                       

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   物的対策                    的対策

 

●自社株の評価引き下げ       ●後継者の選出      

●自社株の移転方法の検討      ●後継者の育成
●自社株の移転時期の見極め     ●相続人間のトラブルの回避
●株式分散と経営権の確保      ●従業員との関係調整
●相続税の軽減対策         ●取引先に後継者を認知させる
●相続資金の調達方法の検討
●納税方法の検討
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        事業継承対策の完了     

事業継承対策の柱…その1

1  事業継承対策   

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 日本の企業の多くは中小・零細企業であり、経営者=株式所有者(=会社所有者)といういわゆるオーナー経営者であることが多いのが実状です。こうした実状の下での事業承継とは一般的に、「会社の経営を現在の経営者から次の経営者へと承継することをいい、具体的には、次の経営者への実質上の経営権の移譲と自社株の移転である」といわれています。

 もう少しかみ砕いていうと、事業承継は、現在の経営者が自身の意思によって、生前に次の経営者にふさわしい者(多くの場合は子息のうちの1人)を選出し、その者を教育して社内・社外の者に認知させることによって経営権を移行させることにあります。そして"相続税の負担が世界一重い"といわれている現行税制下において、スムーズな経営権の移譲のためには、自社株の多くを所有するオーナー経営者の相続税対策は必須であり、相続 税対策を無視しては、資金面の裏づけに欠けるため成立しません。

 したがって、次の経営者を誰にするか、どのように育成し、いつ経営権を移譲するかという人に係わる対策だけでは不十分で、自社株の評価を下げて相続税額を圧縮し、相続税の納税対策等を含めた相続税対策も必要となります。片方の対策だけでは、事業承継対策とはいえません。両者のバランスのとれた対策こそが重要なのです。 

社会保険の手続き…その9

Q32 自営業者が亡くなった場合の国民年金の死亡一時金

   自営業で国民年金の加入者が死亡しました。年金を受けられる遺族がいない場合は、一時金を受給できると聞きましたが、手続きはどのようにしたらよいのでしょうか?

 A

  死亡一時金の受給手続きは、「死亡一時金裁定請求書」を住所地の市区町村窓口に提出します。

 

 1 死亡一時金 

  死亡一時金は、遺族厚生年金を受けられる遺族がいない(支給要件を満たした子がいない)と
 きに支給されるもので、第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の

 3月、半額納付月数は2分の1月、4分の1月納付月数は4分の1月として計算されます。)が
 36月以上ある人が、老齢月基礎年金や障害基礎年金を受けないまま死亡したとき、その人によ
 って生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち先順位者に保険料
 納付月数に応じて12万円から32万円が支給される給付金です。


   手続きは、「死亡一時金裁定請求書」に死亡した夫の年金手帳、戸籍謄本等、住民票などの書
 類を添付して住所地の市区町村の窓口にて行います。


  なお、死亡一時金を受けられる人に、厚生年金保険、国民年金に加入した期間及び寡婦期間を
 合算した期間が25年以上ある(老齢年金を受けられる資格がある)場合等には、国民年金に加
 入中に死亡した場合であっても遺族厚生年金が支給されますので、住所地を管轄する年金事務所
 に相談するとよいでしょう。

 2 寡婦年金と死亡一時金の調整 
 
  遺族基礎年金を受けられる場合は寡婦年金、
死亡一時金はともに不支給、寡婦年金と一時死亡
 金は選択受給となります。これは寡婦年金の支給期間は最大5年間という有期の年金であるため
 、一時金で支給される死亡したのほうが高額となる場合があるためです。

 3 遺族厚生年金と寡婦年金 
 
  死亡した夫が過去に厚生年金保険に加入していたときには遺族厚生年金が支給されますが、寡
 婦年金とは選択受給となります。


  例えば厚生年金保険に3年間加入後、独立して国民年金の被保険者となって30年経過した夫
 が56歳で死亡したときには寡婦年金の受給権の他遺族厚生年金の受給権が発生します。この場
 合妻が60歳になるまでは遺族厚生年金が支給、60歳になると寡婦年金も受けられますが、い
 ずれか一方を選択することとなります。寡婦年金のほうが高いため寡婦年金を選択した場合は6
 5歳になるまで支給され、65歳以後は再び遺族厚生年金が支給されます。


  60歳以後に死亡した場合も同様です。65歳になるまでは寡婦年金か遺族厚生年金を選択、
 65歳以後は遺族厚生年金が支給されます。


  手続きは遺族厚生年金は住所地を管轄する年金事務所に、寡婦年金は住所地の市区町村にな
 ります。