人的対策…その3−1

6  予防策   

  

@遺言による予防策 

 

 T 遺言書の必要性   

 最近、信託銀行を初めとする金融機関やマスコミにより、過言書の作成についてこれまでになく大きく取り上げられています。民法では相続が発生した場合、遺産分割1つの基準として法定相続分が定められていますが、我が国では私有財産制をとっ ており、この財産処分の自由を尊重して認められているのが遺言制度です。

 

   遺言書の必要性としては、次のようなことがあげられます。

 

(1) 今後相続が発生した場合に、遺産分割協議が調わないことが予想される。

 

 (2)遺言で株式の継承者を特定することにより、事業継承をスムーズに行うことができる。

(3) 遺言により事業資産の分散を阻止することができる。

 (4)遺産を国等に寄付する等、相続人以外に財産を与えることができる。
 (5)配偶者と兄弟関係が法定相続人である場合に、すべての財産を配偶者に相続させることができる。

                                                            
 U 遺言書の種類 

 

●遺言書の種類とその特徴

  自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法

日付、氏名、財産目録、分割内容等全文を自書し、押印する。

●遺言の加除、訂正の方法については、民法に定められている方法による。   

●遺言者が公証人役場に出 かける。

●証人2人以上の前で公証人に遺言内容を口述し、民法で定められた方式で公証人が筆記して作成する。

●筆記内容に誤りがないかを確認し、遺言者、公証人、証人それぞれが、署名、押印する。

遺言書に署名・捺印し、封入する。署名印と同じ印鑑にて封印する。

●遺言者が公証人役場に出かけ、公証人1人、証人2人以上に提出する。

●遺言者が自分の遺言書であること、遺言書の筆者の住所・氏名を申述する。

●公証人が提出日付と遺言者の上記申述内容を記入する。

遺言者、公証人、証人それぞれが署名・押印する。

メリット

●手軽に作成できる。

●遺言書の存在および内容を秘密にできる。

●費用がかからない。

●原本は、公証人役場にて保存されるため、紛失のおそれがない。

●家庭裁判所による検認手続が不要である。

●遺言の存在、成立の真正等無効になるおそれがない。

●偽造されるおそれがない。

●偽造されるおそれがない。

●遺言書の存在および内容を秘密にできる。  

デメリット

●文意不明、形式不備等により無効となる恐れがある。

●遺言書が発見されない(隠匿の)おそれがある。]

●遺言書が紛失するおそれがある。

●家庭裁判所の検認手続が必要である

●費用および手間がかかる。

●遺言書の存在および内容を秘密にできない。

●手間がかかる

●文意不明、形式不備等により無効たなるおそれがある。

※民法で定められている遺言書の種類は、通常の場合上記3[類である。この方式に則っていない過言は無効となる。

※自箪証密過言または、秘密証書過言を自宅等で発見した珊合には、家庭裁判所へ遺言函の検潔の申立てをする。

※複数の過言醤が発見された場合には、最新の過菖掛が個先される。

 

 V 遺言書作成上の留意点 

 

 遺言書を作成するにあたって注意する点としては遺留分の侵害の問題があります。遺留分とは推定相続人の相続に対する期待権を保護するための制度であり、兄弟姉妹を除いた相続人でその割合は法定相続分の2分の1となります。ただし、父母などの直系尊属のみが相続人になるときは3分の1となります。 

ひらめき

  被相続人甲の相続人は、妻乙と子A、Bの3人です。


                          

●妻乙の遺留分は、                            1/2×1/2=1/4です。

                          ●子A、Bの各人の遺留分は、                         1/2×1/2×1/2=1/8です。 

 

  最近、相続人の権利意識の高揚と共に遺留分の減殺請求の申立ても非常に増加してきていますので、遺言書を作成する場合には、特別の事情がない限り遺留分相当額を考慮した遺言書を作成しておくことをお勧めします.