7  生前贈与の有効活用 

 ①贈与の分岐点 

 大がかりな相続税対策は時間とコストがかかります。しかし、生前贈与は対象とする財産を預金と株式等とすることで簡単に実行することができ、将来予想される相続税額を圧圧縮するために、生前贈与を継続して行うことが有効な相続税対策となります。

 子供や孫その他親族に対して生前贈与を行う場合には、現在予想される相続税の実効税率よりも低い贈与税の税率が適用される財産の範囲で贈与を行う必要があります。

 生前贈与をする場合の分岐点について次の事・例を基に説明します。

 事 例

相続税

 課税価格の合計額

 9億2,000万円

 法定相続人

 子供3人

 基礎控除額

 5,000万円十1,000万円×38,000万円

 課税遺産総額

 9億2,000万円-8,000万円=8億4,000万円

 相続税総額

 各相続人の法定相続分

 8億4,000万円×1/3=2億8,000万円

 28,000万円×40-1,700万円9500万円

 9,500万円×3人=2億8,500万円

 実効税率

 28,500万円÷92,000万円3098

贈与税

 贈与税総額

 1,410万円−110万円(基礎控除額)=1,300万円

 1,300万円×50%−225万円=425万円

 実効税率

  425万円÷1,410万円=30.14%

参 考 

■相続税の速算表

 法定相続分の各相続人の取得金額

 税率

 控除額

         1,000万円以下

 10

 

 1,000万円超〜3,000万円以下

 15

 50万円

 3,000万円超〜5,000万円以下

 20

 200万円

 5,000万円超〜  1億円以下

 30

 700万円

  1億円超〜  3億円以下

 40

 1,700万円

 3億円超

 50

 4,700万円

■贈与税の速算表

 基礎控除,配偶者控除後の課税価格

 税率

 控除後

 200万円以下

 10

 

 200万円超〜  300万円以下

 15

 10万円

 300万円超〜  400万円以下

 20

 25万円

 400万円超〜  600万円以下

 30

 65万円

 600万円超〜1,000万円以下

 40

 125万円

 1,000万円超

 50

 225万円

 ②生前贈与のメリット

 上記事例を基に生前贈与を活用することによる相続税額を確認してみます。

 相続人である子供1人ずつに1年間で合計1,410万円を贈与することにより4,230万円(=1,410万円×3人)の相続財産が減少します。この贈与が実行された場合の相続税額の合計は2億6,808万円となり3人分の贈与税額1,275万円(=425万円×3人) を負担しても、生前贈与を活用しなかった場合と比較して417万円(=2億8,500万円−2億8,083万円)の税負担の軽減が可能となります

 また、生前贈与を毎年継続して実行することで相続財産を圧縮することができるので、生前贈与を行う期間の贈与税額の合計額とその後の相続税額を合計した額は、何も対策をしなかった場合の相続税額と比ベて大きく減少することになります。

 ③生前贈与における留意点 

 相続税の調査においてよく問題となる項目に家族名義預金があります。 

 家族名義とされている預金が、実質的にも名義人(相続人等)の財産なのか、それとも亡くなった被相続人の財産なのか、その判断に苦しむケースがあります。よくあるケースとしては子供、孫に寄与控除額以下(現行110万円)の金銭を毎年贈与し、長年にわたって贈与しているケースです。

 将来的には相続財産の帰属で誤解を招かないためには、多少面倒でも贈与税の確定申告手続きをし、確定申告の本人控と納税額が発生している場合には、納付書の保管が必要となります。

 また生前贈与の対象財産を不動産とした場合には、連年贈与(贈与する財産を一度に契約し、それを数回に分けて贈与すること。その場合には、初年度に贈与する財産全体が贈与税の課税対象となります。)とみなされないようにするために、毎年所有権移転登記を行い、贈与日と贈与金額にアクセントをつけるなどの工夫も必要と思われます。

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