相続税対策(基礎編)…その5

11  特定事業用資産の減額特例の有効活用 

 

 @制度の概要

 

 相続によって取得した一定の要件を満たす特定同族会社株式については、小規模宅地の評価減の適用を受ける代わりに、相続税評価額の10%の評価減を認める特例が設けられています。平成16年度の税制改正でこの特例対象となる株式の範囲がそれまでの3億円までから10億円までに拡大されました。すなわち、最高で1億円の評価減が可能となりました。

  

   ●税制改正前後での比較

   改正前 改正後
減額対象範囲 3億円 10億円
最高減額金額 3,000万円 1億円

  改正前は最高で3,000万円までの減額であったため、小規模宅地に係る評価減との兼合いを考慮した場合にはそれほど利用価値が高い制度とはいえませんでした。しかし、平成16年度の税制改正で対象範囲が拡大された関係で評価減の最高額も1億円となり、検討の価値が十分あるものと思われます。 

 なお、この特例の対象となる特定同族会社株式の要件の主なものは以下のとおりであり、すべての要件を満たす必要があります。 

    特定同族会社株式の要件   

  ・被相続人から相続または遺贈によって株式を取得した相続人が被相続人の親族であり、  かつ、相続税の申告期限においてその会社の役員等であること   

  ・被相続人が有していた株式等で発行済株式等の3分の2までの部分であること   

  ・相続開始直前の被相続人および親族その他特別な関係がある者の保有する割合が50%超であること     

  ・相続開始直前において被相続人が有していた特定株式に係るすべての法人について、その法人の発行済株式総数に1株あたりの評価額を乗じた額が20億円未満であること

  

 A小規模宅地の特例との併用 

 

この特例は小規模宅地の特例との併用が可能となります。併用する場合の具体的な算式は以下のとおりとなります。

     400u−B

 A × _______          
       400u 

                    

A:特定同族株式等の価額のうち、発行済株式総数の3分の2に達するまでの金額といずれか低い金額                                

B:小規模宅地の特例の適用を受けた面積の合計

   

 B相続時精算課税制度」との関連 

 

 相続時精算課税制度を選択して自社株の贈与を受けた場合であっても、相続税の計算にあたり、特定事業用資産の特例の適用ができます。すなわち、特定事業用資産の特例の適用ができる自社株を生前に贈与を受けて、相続時精算課税制度の適用を受けている場合には、特定贈与者の相続税の計算にあたっては、贈与時の評価額の10%相当額を減額して計算することができます。なお、相続時精算課税制度を通用して生前に自社株の贈与を受けている場合には、特定事業用資産の特例の適用判定にあたり株式の数量・金額等が影響してきますので、注意が必要となります。 

 また、相続時精算課税制度を選択した精算課税適用者が将来の相続時に特定事業用資産の特例の適用を受けようとする場合には、贈与税の申告期限内に所轄税務署長に所定の届出をする必要があります。