相続税対策(応用編)…その1

12  交換を利用した保有資産の有効活用   

  

 @交換の活用 

 資産家の中には多くの不動産を所有し、貸地を多く保有されている方がいます。貸地の多くは固定資産税等の負担を考慮した場合収益性が悪いため、何らかの機会に借地権の買戻しまたは借地権と底地権也の交換、底地権の売却等を考えている地主の方も多いと思います。 

 このような場合に、生前の相続税対策として交換の活用により、次のような効果が得られます。

 低地件と借地権の交換により完全な所有権となり次の相続税対策が考えられます。

 

1.いくつかの共有状態にある不動産を交換し単独所 有することにより、将来の相続に対して物納または 売却による納税対策が可能となります。

 

2.収益性の低い貸地との交換により、収益性の高い 土地に切り替えることができます

3.生前対策を行うことにより、対策費用としてかかった費用が事業に関連する場合には必要経費となり、 また、結果的にその費用部分が相続財産に含まれな いことになります

 

 

 A交換活用の事例

  次の事例は戦前より莞三者に土地を賃貸している地主が、賃貸面積が広かったため、底地権と借地権の交換を行い、交換後完全な所有権とし、その後、賃貸マンションとしての有効活用により財産評価額を圧縮した事例です。

   

ひらめき事例

               交換前

                ↓

 地積 700u 

                 

 借地権割合70%       路線価 1,000,000/u
   (借地権・借地人)        ●借地権割合70%地区 
                           
 底地権割合30%       ●低地評価額 210,000,000
   (底地権・地主)      7001,000,000/0.3 
                                    =210,000,000                    
 

                ↓  

               交換後

                ↓

 地積 210u 

  地主・マンション建設    

      ↓     右斜め下 相続時の評価          
      ↓    土地については、貸家建付地の評価を適用           
      ↓    建物については、貸家の評価を適用             
      ●土地評価額  165,900,000  ※1  ※2       
          210u×1,000,000円/u×(1−0.3×0.7)   
          =165,900,000円
                        ※1借家権割合                
                                 ※2借地権割合
                
 地積 490u  
   借地人         
                            

    

 評価圧縮額  

 T交換前評価額     210,000,000  

 U交換後/貸家建付地  165,900,000  

 V評価圧縮額(T−U)  44,100,000

 

 B交換にあたっての留意点 

 交換も税務上は譲渡の一形態となるため、原則として交換によって顕在化した含み益に対して個人の場合には所得税が課税されます。しかし次の要件を満たす場合には、交換の特例の適用を受けることにより納税が発生しません。  

  適用要件   

  T自己および交換の相手方が共にそれぞれ1年以上所有している資産であること。 

 U譲渡資産および取得資産が共に固定資産であること。 

 V同一種類の資産の交換であること。 

 W交換により取得した資産を交換により譲渡した資産の用途と同一の用途に供すること。 

 X交換差金等の額が、交換資産のいずれか高い方の時価の20%以下であること。  

 Y交換の相手方の資産が交換のために取得した資産でないこと。 

 以上のように交換の有効活用により、所得税、相続税等の対策を行うことができます。なお相続税対策には時間とコストがかかることを考えますと早い段階での着手をお勧めします。