16 自社株評価方法の概要
@自社株の株価対策の必要性
会社を経営するオーナーが事業承継対策を検討する場合、避けて通れないものの1つに所有する自社株の対策があります。
一般に非上場株式を発行する会社は、信用力や担保力といった点で銀行等からの資金調達に際して自ずと限界があることから、会社の利益を内部留保する傾向があり、また所有する資産に多くの含み益を有している場合があるため、いざ事業承継を検しようとした際にびっくりするほど高い株価となっていることが少なくありません。
オーナーが事業承継を進めた時に、後継者に自分の所有する株式を譲ろうとしても、高い株価が障害となり思うように株式を移行できないといった状況にならないよう、時には専門家の力を借りて、事前にそして計画的に対策を講じる必要があるのです。
A自社株の評価対方法
非上場株式の評価は、大きく分けて原則滝評価方法と特例的評価方法の2つに分けられます。特殊的評価方法は、経営参画や会社の支配といったことよりも、配当金取得を目的として株式を所有している株主のように、経営絵の関与度合いが低いと考えられる一定の少数株主に対する評価方法で、一般的に原則的評価方法に比べると株価はずっと低くなります。
株 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
株 ←←特例的評価方法
評価会社 | ||||||||
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→→→→ |
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同法株主の
いる会社 |
同法株主の
いない会社 |
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同法株主
以外の株主 |
同法株主 |
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特殊割合が
15%以上の グループに 属する株主 |
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特殊割合が
15%未満の グループに 属する株主 |
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↓ | ↓ | |||
↓ |
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特殊割合が
5%未満 |
特殊割合が
5%以上 |
特殊割合が
5%未満 |
↓ | |||
↓ | ![]() |
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↓ | ![]() |
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↓ | ||
↓ |
中心的な 同族株主の いる場合 |
中心的な
同族株主の いない場合 |
↓ | 中心的な
株主が いない場合 |
|
中心的な
株主が いる場合 |
↓ | |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ![]() |
↓ | ↓ | ||
↓ | その他 | 中心的な
同族株主の または株主 |
↓ | ↓ | ↓ | 役員 | その他 | ↓ |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
特殊的評価方法 (配当還元方式) |
原 則 的 評 価 方 法 |
特殊的評価方法 (配当還元方式) |
T 原則的評価方法
原則的評価方法は、さらに会社の規模に応じて類似業種比準価額方式と純資産価額方式を使い(あるいは併用して)株価を評価することになります。
●類似業種比準価額方式
事業の内容が類似する上場会社の平均株価を基に、次の3つの要素を比準させて評価会社の株価を計算する方法
(A)1株あたりの配当金額
(B)1株あたりの年利益金額
(C)1株あたりの純資産価額
●純資産価額方式
評価時点における会社の純資産を、相続税評価額を基に計算する方法
●併用する方法(併用方式)
類似業種比準価額と純資産価額とを会社の規模に応じた割合で組み合わせて評価する方法
U 特別的評価方法(配当還元方式)
この評価方法は、評価会社の1株あたりの年配当金額を基に株価を算定する方法です。1株あたりの年配当金額は、記念配当等の非経常的なものを除いた、直前期末以前2年間の配当金額平均により算定されます。
B各評価方法による株価引下げのポイント
会社の規模等により、それぞれ株価を計算する評価方法が異なるため、それぞれの評価方法に合った株価引下げ対策を講じることになります。
T―純資産価額方式の場合
会社の純資産を減らす方法が有効となります。U―類似業種比準価額方式の場合
原則として、計算上比準することとなる、配当金額・利益金額・純資産価額の各要素を引き下げる対策が有効となります。
V―併用する方式の場合
上記TとUのいずれも有効となります。
W―配当還元方式
会社の経常的な配当を引き下げることが有効となります。