相続税対策(自社株対策)…その3

18  株価引下げ対策の留意点      

 

 @特殊な評価会社に注意を 

 株価対策を行う上ではいくつか注意すべき点があります。 

 非上場株式の評価にあたっては、純資産価額方式で評価した評価額が高くなることが一般的です。しかし、税法上、特定の会社については原則として純資産価額方式による評価方法が強制される場合が幾つかあるため、株価対策を検討する上で十分に考慮しておく必要があります。

        原則として純資産価額方法による評価となる場合   

  T―開業後3年未満の会社の評価

   評価時期において開業後3年未満の会社は、その会社の規模にかかわらず、純資産価額方式による評価によって株式を評価することになります。

  U―土地保有特定会社に該当する場合

   株式の評価を行う場合に、その評価会社の資産構成の中で、土地の占める割合が大きい場合(会社区分により純資産額の70%または90%以上が土地の場合)には注意が必要です。土地保有特定会社に該当する場合には、必ず純資産価額方法による評価となりますので、対策を進める際には十分な注意が必要となります。 

  また、従前、土地保有特定会社に該当していた会社が、合理的な理由がなく課税時期の前に資産構成を変動させたと課税当局が認定した場合には、その資産の変動がなかったものとして評価されてしまうため、対策には十分に注意する必要があります

  V―株式保有特定会社に該当する場合

   評価対象会社の資産構成の中で、株式の占める割合が大きい会社(大会社:25%以上、   中会社:50%以上、小会社:50%以上)については、通常の評価によることが認められず原則として純資産価額方式による評価になります(ただし、簡易方式による評価をすることができます)。

  W―類似業種比準価額方式で対策を進める場合の注意点

   1株当たりの配当金・1株当たりの利益金額・1株当たりの純資産価額という各   比準要素の全てがゼロとなる純資産価額方法によって評価されることとなり、比準要素の2つがゼロの場合には、併用割合が低くなってしまいます。類似業種比準価額方法を前提に事業承継対策を進めている場合には、期待通りの結果が得ら れるように、各要素について十分な配慮をする必要があります。

 対策方法

 類似業績準

価額方式

1株あたりの

配当金

利益金額

純資産価額

 

 2要素以上が

 0にならないように

 

 A短期間で対策を進める場合の注意点

  時間的な余裕がなく、対策を早急に進めなければならない場合で、不動産を使った対策を行おうとする際には特に注意が必要です。株式の評価において、純資産価額方式による評価額を使用する場合には、評価時期前3年以内に取得した不動産については、通常の相続税評価による評価額とはならず、通常の取引価額(時価)で評価することとなります。つまり、時価と相続税評価額との幅を利用して株価対策を進める場合には、3年間はその効果が出ないこととなります。

  株価対策については各社各様の対策が必要となり、自社に合った対策をとる必要がありますが、対策が無駄にならないように細心の注意を払って進める必要があります。

   

 B期待どおりの効果得るために

  株価引下げ対策においては、計画的にその効果が現れる時期を検討する必要があります。対策には長期間を要して初めて効果の現れるものや、逆に対策年度にしか効果の生じないものがあるため、その効果が現れる時期をあらかじめ計画し、もっとも効果の現れた時に株式の移動ができるよう留意することが重要です。